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恵 建築デザイン事務所

家づくりのポイント

2013年9月 8日 (日)

ウッドデッキにパーゴラ+日よけテント~リゾートみたいな家

約9年ほど前に、友人と共同設計した家があります。

その後も時々、住まいのことについてご相談を受けます。

とても楽しい奥様で、話していると時間が経つのを忘れるぐらいなんですが

ここ数年来の悩みは、夏のリビング東面の日よけについて。

ヨシズの「すだれ」や、「たてす」で、しのいで来られましたが、ヨシズは安いけれど2~3年でダメになってしまいます。

処分も結構、大変。

今年、そのご相談を受け、パーゴラ+日よけテントを提案。

そして、ウッドデッキを増設して、そのテントの下でバーベキューしたり、お孫さんのプール遊びしたり・・・。

風の強いところなので、台風など強風時には、テントをたたみます。

これが、施工前。

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大きな住宅団地の中の敷地ですが、そうとは思えない環境にあります。

この、東面のウッドデッキからは、借景の雑木林が見え、そこにはキジやタヌキまでやってくるという。

このリビングの東のウッドデッキは日当たり抜群で、住宅団地内の道路からは見えないので、バーベキューしたり、プライベートに楽しむのにぴったりなんです。

ただ、夏は暑い・・・・

そこで、柱を立ててパーゴラを増築。

塗装工事は、施主ご夫婦で、組立て前にされています。(自然塗料バトン2回塗り)

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そして、日よけテントを。

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これは、開閉式です。

色は、日差しを遮りやすいグリーン。

汚れも目立ちにくい色です。

ここまで、作って奥様は、カウンターテーブルも作ってほしいと言われました。

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どうです?

とても素敵でしょう。

目の前の雑木林(市の土地だそうです)が、借景でいい感じ。

右下には、池も見降ろすことができます。

奥様はこれができてから、毎朝、早起きしてここで、お茶するのが日課なんだそうです。

まるで、どこかのリゾートホテルのテラスみたい!

お盆に帰省したお孫さんもここでプールで水遊びを楽しんだそうです。

6帖以上もあるスペースなので、ここで様々な楽しみが広がっています。

*

そして、ついでに思いつかれたのが、リビングのパソコンデスク。

いっしょに銘木屋さんに見に行き、「トチ」の木を購入されました。

面皮付きで、ちょうどいい感じにカーブしたところを生かしました。

中の木目がとてもきれいなんです。

もちろん、塗装はご自分で。

サンダーもオススメして買っていただいて、ご主人が上手に塗られました。

これも自然塗料のリボス社の「クノス」

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上げ下げ窓からは、ウッドデッキのカウンターや雑木林が見えます。

机の上部には小さな棚もつけました。

本を読んだり、手紙を書いたり・・・ちょっと素敵なパソコンコーナーです。

小学生の子どもさんがおられるおうちなら、宿題コーナーにもぴったり。

リビングとダイニングの間ですので、お母さんの目も届きます。

この写真はリビング階段の途中から撮りました。

奥様もご主人も外のテラスともども、とても、お気に入りのご様子で、良かったです。

自分たちで塗装をやったりいろいろ工事に参加しているので、満足度も倍増!?

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南側から見ると、ちょうどグリーンカーテンに隠れて、見えません。

西の道路からは、まったくと言っていいほど。

*

また、おしゃべりしに行きます。

その時は、外のテラスのカウンターでランチさせてくださいね。

お弁当は持参します!

2013年2月24日 (日)

暖かい浴室の作り方

今、リフォームでよく頼まれるのが浴室。

とりあえず、暖かくしてほしい、とのご要望が多い。

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先日、岡山の地方紙「山陽新聞」に、このような記事が出ていました。

そうなんです。

夏場は、猛暑で熱中症にかかるお年寄りが多く、「今年は、全国で数百人死亡した」とかニュースになりますが、冬場の死亡は ケタが違います。

あまりにも、よくあることなので、ニュースにもならないんですね。

お年寄りは、我慢強くて 部屋にも暖房せずにコタツに肩までもぐってる、ということがよくあります。

「冬は寒いのが当たり前」ということで、気にしないのですね。

コタツは省エネかもしれませんが、あれは「暖房器具」ではなく 「採暖器具」です。

電気ストーブもそうです。

部屋中が暖かくならないと 「暖房器具」とは 言えないそうです。

*

さて。

最近の浴室の主流はユニットバスですが、20年ほど前までは、在来工法の浴室でした。

構造は・・・

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家じゅうで一番寒い北方向にあり、下地が木製だと腐れやすいので、コンクリートブロックを窓下まで積んであります。

仕上げはタイル貼り。

このブロックが、出入口以外にぐるっと積んであり、外の寒さがそのまま部屋の中に伝わってくる構造です。

これが 昭和50年代以前は普通の構造でした。

浴槽にお湯を入れてもどんどん冷めていくんです。

今、この年代に建てられた住宅がリフォーム時期を迎えています。

それで、暖かくするには、やはり断熱材なんですが・・・

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ユニットバスと、外壁のコンクリートブロック積みの間に、高性能のボード状の断熱材を入れます。(フェノバボード30mm厚さ以上 等)

外壁だけでなく、間仕切りとの間にもすべて入れます。

ユニットバスは標準が関東間(910㎜モジュール)ですが、私の地域(岡山県北)では、関西間サイズ(985mmモジュール)の家が多く、関東間サイズのユニットバスの間にはすき間ができるので、タイルを撤去しなくても、断熱材が入ります。

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このように、土間に建てるように入れます。

ここまでを、ユニットバスの組立てまでにやっておきます。

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壁パネルの上まで入れますので、それからユニットバスの組立てをするとこんな感じ。

天井裏も断熱材~これは、グラスウール等、綿状のものをできれば200mm入れます。

最近のユニットバスは、壁が厚く、床や浴槽も断熱構造になっていますが、それだけではなく、さらに断熱材を補充するのが、より暖かくなるコツだと思います。

大工さんや工務店さんは、たぶん ユニットバスの壁が断熱構造だと、必要ないと思われて 何もいれないかもしれません。

(でも、すごく安いユニットバスは壁が薄い~つまり断熱材が入ってないです。)

ぜひ、頼んでみてください。

私は、新築でも、外部だけでなく間仕切りまで断熱材を入れます。べた基礎の土間から。

*

窓はもちろん、断熱サッシです。

できれば、窓の外側には、外付け目隠しルーバーを付けます。(ルーバー付のサッシが良い)

これは、特に奥様に喜ばれます。

すぐ外に道路がなくても、視線がとても気になるものです。

これをつけていると、夏は、窓を開けて(ルーバーを上向きにして)浴室の熱気を抜きながら入れるので、まるで露天風呂気分を味わえます。

サッシの横をふさぐ部品もあります。

それと、浴室の換気扇は電気代を気にして、入浴後は切ってしまいますが、窓に格子かルーバーをつければ、サッシを開けたままでも防犯的に大丈夫なので換気も充分できます。

予算的に厳しい家は、目隠しにはなりませんが、格子をつけます。

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目隠しルーバーは高いですが、その価値はあります。

この写真はYKKapの 多機能ルーバーです。

*

ユニットバスにするときは、オプションで暖房乾燥機を必ずつけましょう。(そのためには、専用電気回線も必要。)

我が家にもありますが、入浴の30分前にはスイッチオンしておきます。

浴室に入った時に、暖かくとても快適です。

でも、洗濯物の乾燥機に使用するのは、どうなんでしょう?

冬場の洗濯物も乾かせるようにカタログには書いてありますが、長時間かけてもなかなか乾かないので、期待しないほうがいいです。電気の無駄。

洗濯乾燥機を利用するか、暖房している部屋に干したほうが良いと思います。

*

もちろん、脱衣室にも暖房が必要です。

温風は風が出て濡れた体には寒いので、他の方法かな?

30分ぐらい付けっぱなしにしないと温まりませんね。

間取りの工夫で、脱衣室を暖かくする方法もあります。

これは、浴室と脱衣室のリフォームですが

リフォーム前は、この間取り

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これを、脱衣室と浴室の位置を入れ替えます。

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こうすることによって、ダイニングキッチンから直接、洗面・脱衣室に入ることができます。

ダイニングキッチンの暖房を、引き戸を開け放してとりこむことができます。

それと、家事の動線も、キッチンから直接入れたほうが、便利。

キッチンに勝手口があるので、洗濯物を干すにも外に出やすい。

実は、我が家もリフォームのときに そのように変更したので、朝の忙しいときなどとても便利になりました。

我が家はキッチンではなく、脱衣室に勝手口がありますので、ゴミ出しも脱衣室の勝手口を利用します。

*

最近、浴室リフォームの相談が多いです。

ちょっと昔の家は脱衣室の無い家や、トイレが脱衣室からしか入れない家などがよくあり、男性(大工さん?主人?)が考えた家なのかな?

今日、打合せにお尋ねした家も、廊下の突き当たりが浴室で、脱衣室がありませんでした。(昭和52年の家なのに)

カーテンしかなくて、奥さんが 「すごく、寒いし、見られそうでイヤ」と 言われてました。

*

リフォームは早いほうが良いです。

いつかは、自分も高齢者ですから、バリアフリーにして、手すりもしっかりつけて。

快適な水回りは寿命を延ばします。

よく考えて、暖かく、使いやすく、高齢者が倒れない浴室・脱衣・トイレにしましょう。

2012年11月 8日 (木)

小さなキッチンのリフォーム~食品庫と造り付けの家電収納

小さなキッチンリフォーム工事が完成しました。

キッチンは独立で、大きさは3帖大。

ダイニングは隣の部屋です。

予算も限られています。

奥様が、「1級建築士のあなたに、こんなお仕事をお願いしてもいいのでしょうか?」と、何度も言われました。

「大丈夫です。使いやすく、予算内に納めるのが私の仕事です。」と、お答えしました。

私は、リフォーム工事は、直接大工さんや、その他の業者さんにお願いして直営工事でさせていただいています。

設計・監理料というのは、工事の諸経費の中に含まれていますので、工務店さんと比べても高くない(むしろ安い)くらいです。

これは、私が 工務店出身ということもあり、現場監督もでき、長年のおつきあいのある職人さんたちを知っていて、チームで仕事をするのが好き、ということもあります。

*

さて、今回のリフォームの現場を見たら、キッチンの横に階段があり、その下に食料品が雑然と置かれていました。

これを、どうにかしてあげなくては!と 1番に思いました。

小さな面積でも、うまく活用すれば、大きな収納力になります。

まず、工事前ですが・・

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このままでは、奥のものを取り出すのも大変。

収納力にも限りがあります。

そこで、収納するもののサイズを測り、それに合せて棚を作りました。

棚の高さは、こういう場合、一度入れたらそう変更しないので、固定としました。

階段下なので、一部天井が斜めになります。

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わずか、幅1350×奥行き950×天井高1300のスペースとは思えないほどの収納力です。

箱買いのペットボトルや缶コーヒー。

買い置きのカップ麺や、コーヒー。

果実酒等、いろいろな物が入ります。

*

次に、問題はキッチンを狭くしている、家電収納(市販のレンジ台)

この奥行きが600もあり、流しの反対側に置いてあるので、間が600程度しか、空いていません。

そこに、玄関から入るドアがあり、家族もよく通るのです。

奥様によく説明して、この家電収納は他で使っていただくとして、奥行き450㎜の家電収納を大工さんに作ってもらうことにしました。

今、お使いのハイザー(お米の収納+食料品の収納)の寸法を測り、その中にすっぽり納めるようにして、隣には分別のゴミ箱を入れられるように設計しました。

それが、コレ。

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ゴミ箱も近くのホームセンターにいっしょに買いに行き、入るものを買っていただきました。

ゴミ箱は蓋が開くのですが、後ろにキャスターがついているので引っ張り出すこともできます。

ゴミ箱の上のタナは、取りはずし可能にしていますので、ゴミ箱のふたを開けるのに邪魔ならはずしてくださいと説明しましたが、奥様は、ここはお盆置場にちょうどいいと言われ、このままで使うそうです。

ゴミ箱はちょっと前へ引っ張り出せば十分使えるので。

この家電収納は 幅1200×奥行き450×高さ850で、キッチンの高さと同じにしてあります。

そして、動かしたいこともあると思うので、壁はクロスで仕上げた後、ここに置いてあるだけです。(壁に固定していません)

こんな工夫をあちこちにし、やっと2週間のリフォームが完成しました。

*

キッチンのリフォームは、流し台等を新しいシステムキッチン等に変更するのは簡単ですし、誰に頼んでも同じリフォームができます。

でも、前よりも使い勝手が良く、収納力もアップしなければ、せっかくのリフォームの意味がありません。

日本の住宅のキッチンは物が多すぎる、というのが大きな問題なのですが、リフォームの機会に思い切っていろいろな物の処分をしてくださいと、奥さんには何度も言いました。

いくら収納が増えたとしても、それは、すぐにいっぱいになってしまうからです。

それらを、使う主婦の立場から、いっしょに考え、検討し相談しながら作って行くことができるのも、女性建築士の強みだと思うのです。

*

さて、このキッチンのビフォー・アフターをご覧ください。

キッチンは予算の関係でシステムキッチンではありませんが、タカラのホーローキッチンを採用しました。

ビフォーです。

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問題の家電収納↓

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アフターです。

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左の食品庫には、扉をつけると邪魔なので、カーテンにしました。

もちろん、中が良く見えるように照明もつけました。

小さな場所でも工夫次第で、こんなに素敵なキッチンになりました。

費用の総額も最初に考えておられた予算内に収まりました。

2012年10月 3日 (水)

本当のエコハウス~住まいの温熱環境から

10月になりました。

1年で一番気持ちの良い季節(春は花粉症があるので・・・)

津山では、朝15度ぐらいに下がる日もあり、父親の部屋に行ったら暖房してあるので、びっくり。

*

今、動いている現場がないので、事務所にこもって仕事しています。

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久々にドラフターに向かって手書きのパース描いたり・・・

来年建てる家の実施設計に入り、毎日、図面を描いています。(これは、パソコン)

消費税UPの影響で、それまでに建てたい、という人がとても多いのです。

*

ところで、先月のMOKスクール。

テーマは温熱環境で、1コマ目は南雄三先生。

2コマ目は、東大大学院准教授の前真之先生。

3コマ目はおふたりのディスカッションでした。

前先生の講義が、特に面白かったので、先生の書かれた「エコハウスのウソ」(日経BP社発行)を買って読んでいます。

これが、とてもおもしろい!

わかりやすい!

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日経アーキテクチャーに連載していたのを加筆修正っていうか、ほとんど書き直しされたそうですが。

今まで、自立循環型住宅のためのセミナーや、いろ~んなエコハウスや断熱や温熱環境についての本をいろいろ読みましたが、これが、一番。

目からウロコ、落ちまくりです。

*

たとえば、本当に風通しのいい家がエコなのか?・・・とか

これは、田舎の隣家の離れた一軒家ならいいけれど、建築家の好きな「卓越風」っていうのは、思うように吹いてくれない・・・とか。

   ※卓越風・・・参照 自立循環型住宅

           http://www.jjj-design.org/elements/01.html

いくら、その地域の気象台で、この季節は南東の風が吹くと言われても、その家で本当に吹くのか?ということ。

風なんか、気象というよりは、周りの建物や地形の影響のほうが大きい。

確かに、私たち住宅設計をしてるものは、風通しとかいろいろ考えるけど、私の事務所でさえも、窓を開けて風を通すなんて、季節のいいときに数回程度。

窓を開けると、道路沿いだから、ホコリとか音とかも入ってくるし。

実際、いくら、風通しをよく設計したとしても、開けやすい窓でないと人は開けない。

最近のサッシは、断熱性を上げているせいもあって、超重い。特に、掃き出しサッシ。

日本のサッシも重いけれど、性能の非常に良い、外国製の木製サッシなんか、鍵かけているのかと思ったぐらい重い。

あれじゃあ、子どもや高齢者、力の弱い女性は開けられない。

それに、夜は外の方が涼しい気持ち良い風が吹いていても、防犯措置がされてなかったら、開けたまま眠るわけにはいかない。

頑丈な格子がついた、網戸とかつければ大丈夫でしょうが、通常はなかなかそこまで予算が組めない。

*

吉田兼好が、「住まいは夏を旨とすべし」と言ったのは、有名な話。

でも、それは、700年も前の、電気もエアコンも無い時代のこと。

今は「冬を旨とすべし」なのです。

猛暑の8月の昼間。

窓を大きく、あちらもこちらも開けっぱなしにして涼を取る人は、現代にはいません。

本当に暑い日は、窓をしっかり閉めて、その窓には直射日光が当たらないようにスダレ等で日射遮蔽して、内部はエアコン。

これが、今の日本の住まいなんですから。

夜は、開けたとしても、寝るときには防犯のために閉めてしまう。

それより、大事なのは冬。

いくら、温暖地とはいえ、真冬には氷点下にもなる日本。

真夏は35度。しかも高湿度。

真冬は氷点下。

こんな、過酷な気象状況な国は、温帯に属するのに、そうはないそうです。

そりゃ、そうですよね。

ヨーロッパは冬寒いけど、夏は、そこまで暑くないし。

東南アジアは夏、暑いけど、冬は寒くない。

*

そういうことを考えていると、日本の住まいの温熱環境について、もっと真剣に考えて設計をしないといけないと 思います。

まあ、そのおかげで、日本には、コントラストのはっきりした、美しい四季があるんですけどね。

前先生曰く 「本当の省エネ住宅は小さなエアコンで、上手に節電できる家」だそうです。

本当に、そのとおり。

それが、現実的、というべきでしょう。

でも、1点だけ反論があります。

リビング等を吹抜けにするのは、建築家が「写真写りだけ」を考えて・・・という文章があるのですが、つまり、吹抜けは冷暖房の観点から言ったら、絶対やめたほうがいい、ということになります。

確かにそうかもしれません。

私の設計した、リビングに吹抜けのある家が温かいのは、薪ストーブの威力が大きい。

でも、断熱性もあげているし、換気にも気を使っている。

シーリングファンで空気を回すことも考えています。

そのおかげで、あんなに広々とした空間が、冬の朝起きたときに室温が20度ある「土壁で外張り断熱の家」のような 奇跡が起きているのでしょう。

やはり、リビングが吹抜けという、見た目(デザイン)が心地よいということも、大事だと思うのです。

それが、さらに 冬も暖かかったり、住み心地が良いというのが、設計者の工夫と努力だと思います。

*

前先生の本は、その他にも自然採光のことや、給湯のことや、省エネについてのわかりやすい解説がたくさん書かれているので、オススメです。

これから、家を建てられるかたや、設計者にぜひ読んで欲しいな。

2012年9月 1日 (土)

理想の寝室

理想の寝室とは?

究極はホテルの部屋を思い浮かべると良いと思います。

私は、出張等でホテルに泊まるたびに、必ず、部屋の写真を撮ります。

よく、泊まるホテルは、立地条件はもちろん大切ですが、居心地が良いことです。

それは、普段、自宅の寝室にも求められていることではないでしょうか?

*

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この部屋は、大阪のアリエッタホテル。

ビジネスホテルなんですが、内装がとてもおしゃれで、女性に人気です。

シングルの部屋ですが、広がりを感じます。

広すぎず、狭すぎない。

一般家庭の寝室に求められる広さもこの程度では?

床はフローリング。

小さな冷蔵庫と机と鏡。テレビ。

大きめの窓。

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お風呂はユニットバスではなくて、壁はおしゃれな市松模様のモザイクタイルです。

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バスルームの入口も天井まである片引きの吊戸で、軽く開くので使い勝手もよく、部屋も広く見えます。

トイレ・バスルームからベッドまで直線なので、動きやすい。

理想の寝室はこんな感じではないでしょうか?

*

自宅の寝室や個室に専用のバスルームをつけるのは、スペース的に無理ですが、工夫次第で同じような使い勝手にできます。

私は、主寝室または高齢者室には、できるだけ、洗面・脱衣室をくっつけて設けるようにしています。

部屋から続けて行けると、部屋で服を脱いでついでにお風呂に入ることも可能だし、裸で部屋に戻ることもできます。

冬は、寒い廊下等通らずに部屋に戻ることもできます。

それと、洗面所が近くにあれば、朝の洗顔やひげそり、女性ならお化粧など、身支度がここで全部できるので便利です。

まあ、トイレは、家族も使うのでホテルのようにワンルームでないほうが良いですが、でも、やはり寝室近くが理想ですね。

夜中にトイレに行くときに、遠いのはイヤですもの。(私の自宅の不満点はコレ)

*

寝室にはウォークイン・クローゼットをつけて、衣替え不要な衣裳部屋を作りたいですね。

クローゼットの中には布団用のタナも必要です。

いくらベッドでも、夏は冬布団をしまうところがいりますので。

それと、寝室の南には、布団干しができるウッドデッキかバルコニーがあれば、いいですね。

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これは、熟年ご夫婦用の小さな平屋の住まいのプランです。

スペースが許せば、もう少し、収納が大きいほうが良いですけれど。

トイレの前のタナには、トイレットペーパー等の日用品や、買い置きの洗剤等をしまう場所になります。

机やパソコンコーナーが不要なら、この位置に収納を作ることもできます。

南の掃き出しサッシを開けて、洗面所の戸も開ければ、風が通っていくでしょう。

窓を開けたまま眠るには、サッシに通気性のあるシャッター雨戸をつければ大丈夫です。

高齢者の寝室は、このように、南に面して掃き出しをつけておけば、車いすになってもスロープを設けて、ここを出入口にすることも可能です。

南面の庭を眺めたり、ウッドデッキ方向からやってくる人とおしゃべりしたり。

終の棲家の寝室ですね。

以上、間取りの点から、考えました。

*

でも、忘れてならないのは 寝室の第一目的は眠ること。

良い睡眠がきちんと取れないと、疲れがとれません。

落ち着いて眠るには、1階よりも2階のほうが良いかもしれません。

その場合は、2階にトイレと洗面も必ず付けたい。

トイレをつける場合、どうせ、給排水配管が必要です。

ついでに トイレ用の手洗いだけでなく、小型の洗面台にしておけば、顔も洗えるし、薬も飲め、歯磨きもできます。

夫婦の寝室の場合、プライバシーにも配慮します。

子ども部屋より奥に寝室があるほうが、何かと便利でしょう。

子ども部屋との間は壁1枚ではなく、収納などをつけて、音にも配慮しましょう。

子どもは、中高生になると音楽を聞いたり、深夜まで活動しますから。

*

ご夫婦も中高年になると、夫婦別寝を希望される方が多くなります。

決して仲が悪いわけではなく、エアコンの室温調節や就寝時間、テレビ視聴の好みの問題、いびきがうるさくて眠れないから、等 長年連れ添ったご夫婦だからこそ、眠るときぐらい自由にしたい、とおっしゃられる方も。

ちょっとした音や光で、眠れなくなったりしますから。

でも、お互いの気配を感じる位置に配置して、「お~い」と呼べば返事ができるぐらいがベストですね。

*

1階の高齢者の寝室の上に子ども部屋や、主寝室が来るのもできれば避けたい。

どうしても、上に来る場合は、床に防音処理をしましょう。

仕事の関係で夜勤があったり、朝、ゆっくり眠りたいときは、紙貼り障子よりは、遮光カーテンが良いです。

和室の場合は、カーテンがインテリア的にどうか?という問題もありますが、「寝室」「個室」なら、まあ、いいのでしょう。

遮光カーテンも全然光を通さない1級遮光から、段階を追って 3級遮光まであり、遮光率が違います。

ただ、体内時計をリセットするには、朝日を浴びることだと言いますので、ちゃんと夜が明けることがわかるような程よい明るさが感じられるというのも大切だと思います。

今、気持ち良く目覚めるためにだんだん明るくなる照明スタンドなんかも、あるようです。

朝日がまぶしくて眠れないから、雨戸をつけて欲しいと言われ、後からつけたこともあります。(帰省した娘+孫 さんに言われて・・・)

*

人生の1/3は、寝室。

快適な睡眠と休息を取り、明日への活力を生み出したいものです。

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