古民家再生リフォーム~ついに完成 その2
さて、次は 廊下と階段です。
ここは、元々、天井から降りて来るハシゴがありました。
でも、それでは危険だし、高齢者は登りにくい。
それで、美しい桧の透かし階段を取りつけました。
手すりの腰には、簾戸の欄間を2枚、はめ込みました。
2階の尾引きのサイズが小さく、上を歩くとたわんでいるようなので、大工さんの提案で、補強柱を入れました。
透かし階段にしたおかげで、南の座敷から入る明かりが廊下の奥の方まで入ってきて、良かったです。
障子もそのまま生かせましたし。
そして、階段を見上げると・・・
つきあたりには、下の中の間で使っていた障子をここに転用。
左と正面の壁は、ベンガラ入りのジュラクを塗っていただきました。
正面の板戸は、縁側にあったもの。
開き戸を引戸に転用しています。
右手の障子を開けると、ダイニングキッチンを見降ろすことができます。
この頭上の梁が低いので、何度か頭を打ちましたが、家の方は慣れてくると思います。
そして、ロフトへ入ると・・・
こんな落ち着いた空間になりました。
壁は漆喰塗り、床は杉の厚さ30mmのフローリングです。
正面の障子がリビングの吹抜けへ。
左手の障子はキッチンの吹抜けを見降ろすことができます。
キッチンを見降ろすとこんな感じ。
目の前には、大迫力の梁丸太が、何層にも組み合わさっていて、圧巻です。
素晴らしい!!
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さて、下に降りて洗面脱衣室。
洗面台は新しかったので、鏡だけ交換しました。
3帖大なんですが、古民家特有の差し鴨居があり、これが、耐震性に大きく貢献しているので、取ることはできません。
右の柱も大事な柱。(通し柱)
それを利用して、カウンターを取りつけました。
板1枚なんですが、奥行きが700巾が1500ぐらいあるので、洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたり、色々な作業ができると、奥様が喜ばれていました。
その下には脱衣籠や、ゴミ箱や、体重計なんかも置くことができます。
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次は、トイレ。
トイレは、東の端のおばあちゃんの部屋の近くにあるのですが、遠いので、主寝室の近くに、もうひとつ作りました。
ここなら、和室の3間続きに来られたお客様も使うことができます。
信楽焼の手洗い鉢を据え付けました。
カウンターは、以前の納戸のタナを削って使用しています。
やはり、ここにも、大きな差し鴨居が。
床はコルクタイルと、光触媒で汚れを分解する、ハイドロテクトパネルです。
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主寝室は、10帖大。
北面にも、もうひとつ窓を開けて、かなり明るくなりました。
既存の障子が美しい。
やはり、差し鴨居はそのままです。
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3間続きの和室。
以前のように、お葬式を家でしなくなったとはいえ、法事とか、親戚が集まる時に重宝します。
古い仏壇の龍の彫欄間を利用し、後は大工さんで造り付けにして、美しい建具が入りました。
縁側も改装。
樹脂とアルミの複合の断熱サッシを入れています。
床は桧で、和室との段差を無くしました。
床や、壁、天井等、入るところにはすべて断熱材を入れました。
次世代基準(平成11年基準)の断熱です。
この縁側が、とても好き。
いいなあ・・・
やはり、日本の家には縁側が必要です!
*
東の廊下には、壁厚を利用した、絵本とDVDを置けるタナを作りました。
まるで、図書館みたい!
DVDと単行本等が置けるし、小物も飾れます。
小さなお子さんがいらっしゃるので、毎日、本の読み聞かせをされていると思い、提案しました。
図面を書き、サイズも細かく相談して作りました。
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明治の初期に建てられてから、ご家族を見守ってきた家。
柱や梁などの木材は、なるべく自分の山や近くの山から切り出して使っていると思われます。
ご先祖様のいろいろな思いが、この家には詰まっているように思います。
牛小屋だったところ。
通り抜ける土間だったキッチン。
かまどと薪焚きのお風呂。
それらは、高度成長期のころに新建材で リフォームされていました。
ステンレスの流しや、広いけど寒い鉄平石の土間でホーロー浴槽のお風呂。
それは、そのころでは、一番良かったし、普通だったと思いますが、現代は、「きれい」だけではダメ。
断熱性能をあげて、暖かく、使い勝手も良く、なるべくお掃除もラクなものにしたい。
西の床の間の裏の廊下や、そこにあった使ってないトイレは撤去。
また、あちこちシロアリが来て柱の根元がスカスカになっていたり、虫食いだったりするところも、交換や補修をしました。
新建材等は、作ったときが最高で、だんだん古びて行きます。
でも、本物の素材(自然素材)は、経年変化で、味が出てきて、新品にはない美しさを放ってきます。
本物の素材にこだわり、なおかつ古い物をできるだけ残して随所に使った古民家再生となりました。
今回、若いご夫婦と幼い子供たちとひいおばあちゃんが住むために古民家再生リフォームしました。
このような民家は、大げさに言えば日本の財産ですし、今後、同じものを建てようとすると、莫大な費用もかかります。
若いご夫婦が、安易に、今風の家に建て替えることを選ばず、先祖代々受け継いできた住まいをリフォームする決断をされたことは、素晴らしいことだと思います。
今は、まだ小さな子どもたちが成長し、大人になっても、この家を大事に守って行ってくれそうな気がします。
私も、良い仕事をさせていただいて 感謝しています。
ご家族のご健康と子どもたちの健やかな成長、ますますのご繁栄を心からお祈り申し上げます。
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本日、新しい仏壇への魂の入替をしました。明日、畑で古い仏壇は焼却しようと思っています。また、明日は蓄熱暖房機も設置予定ですし、母屋と離れのLAN回線の設置もデオデオがやってくれることになっています。今週中には、息子夫婦と孫たちの母屋での生活もスタートできそうです。半年間、お世話になりました。そして、今後とも末長くおつきあいよろしくお願いします。
投稿: かずき | 2013年12月 9日 (月) 20時02分
初めて、リフォームの打合せにお伺いしたのは、今年の2月でした。
でしたので、順調に完成することができました。
それから、3月に調査に入り、設計・見積もりし、撤去工事着工が6月17日でした。
このくらいの古民家再生には通常工期が1年ぐらいかかりますが、大工さんが3人入ってくれたし、お施主様が非常に協力的
何度も変更せざるをえないこともあり、いろいろ大変なことも多かったですが、振り返ってみるととても充実した楽しい10か月でした。ありがとうございました。
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
投稿: めぐ | 2013年12月 9日 (月) 23時15分
そうですね、めぐみさんとは、ほぼこの1年間ずっとのおつきあいでした。今回、めぐみさんに設計から業者の選定、現場監督まですべてお任せしたのがよかったと思っています。ありがとうございました。
投稿: かずき | 2013年12月10日 (火) 07時17分