暖かい浴室の作り方
今、リフォームでよく頼まれるのが浴室。
とりあえず、暖かくしてほしい、とのご要望が多い。
先日、岡山の地方紙「山陽新聞」に、このような記事が出ていました。
そうなんです。
夏場は、猛暑で熱中症にかかるお年寄りが多く、「今年は、全国で数百人死亡した」とかニュースになりますが、冬場の死亡は ケタが違います。
あまりにも、よくあることなので、ニュースにもならないんですね。
お年寄りは、我慢強くて 部屋にも暖房せずにコタツに肩までもぐってる、ということがよくあります。
「冬は寒いのが当たり前」ということで、気にしないのですね。
コタツは省エネかもしれませんが、あれは「暖房器具」ではなく 「採暖器具」です。
電気ストーブもそうです。
部屋中が暖かくならないと 「暖房器具」とは 言えないそうです。
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さて。
最近の浴室の主流はユニットバスですが、20年ほど前までは、在来工法の浴室でした。
構造は・・・
家じゅうで一番寒い北方向にあり、下地が木製だと腐れやすいので、コンクリートブロックを窓下まで積んであります。
仕上げはタイル貼り。
このブロックが、出入口以外にぐるっと積んであり、外の寒さがそのまま部屋の中に伝わってくる構造です。
これが 昭和50年代以前は普通の構造でした。
浴槽にお湯を入れてもどんどん冷めていくんです。
今、この年代に建てられた住宅がリフォーム時期を迎えています。
それで、暖かくするには、やはり断熱材なんですが・・・
ユニットバスと、外壁のコンクリートブロック積みの間に、高性能のボード状の断熱材を入れます。(フェノバボード30mm厚さ以上 等)
外壁だけでなく、間仕切りとの間にもすべて入れます。
ユニットバスは標準が関東間(910㎜モジュール)ですが、私の地域(岡山県北)では、関西間サイズ(985mmモジュール)の家が多く、関東間サイズのユニットバスの間にはすき間ができるので、タイルを撤去しなくても、断熱材が入ります。
このように、土間に建てるように入れます。
ここまでを、ユニットバスの組立てまでにやっておきます。
壁パネルの上まで入れますので、それからユニットバスの組立てをするとこんな感じ。
天井裏も断熱材~これは、グラスウール等、綿状のものをできれば200mm入れます。
最近のユニットバスは、壁が厚く、床や浴槽も断熱構造になっていますが、それだけではなく、さらに断熱材を補充するのが、より暖かくなるコツだと思います。
大工さんや工務店さんは、たぶん ユニットバスの壁が断熱構造だと、必要ないと思われて 何もいれないかもしれません。
(でも、すごく安いユニットバスは壁が薄い~つまり断熱材が入ってないです。)
ぜひ、頼んでみてください。
私は、新築でも、外部だけでなく間仕切りまで断熱材を入れます。べた基礎の土間から。
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窓はもちろん、断熱サッシです。
できれば、窓の外側には、外付け目隠しルーバーを付けます。(ルーバー付のサッシが良い)
これは、特に奥様に喜ばれます。
すぐ外に道路がなくても、視線がとても気になるものです。
これをつけていると、夏は、窓を開けて(ルーバーを上向きにして)浴室の熱気を抜きながら入れるので、まるで露天風呂気分を味わえます。
サッシの横をふさぐ部品もあります。
それと、浴室の換気扇は電気代を気にして、入浴後は切ってしまいますが、窓に格子かルーバーをつければ、サッシを開けたままでも防犯的に大丈夫なので換気も充分できます。
予算的に厳しい家は、目隠しにはなりませんが、格子をつけます。
目隠しルーバーは高いですが、その価値はあります。
この写真はYKKapの 多機能ルーバーです。
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ユニットバスにするときは、オプションで暖房乾燥機を必ずつけましょう。(そのためには、専用電気回線も必要。)
我が家にもありますが、入浴の30分前にはスイッチオンしておきます。
浴室に入った時に、暖かくとても快適です。
でも、洗濯物の乾燥機に使用するのは、どうなんでしょう?
冬場の洗濯物も乾かせるようにカタログには書いてありますが、長時間かけてもなかなか乾かないので、期待しないほうがいいです。電気の無駄。
洗濯乾燥機を利用するか、暖房している部屋に干したほうが良いと思います。
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もちろん、脱衣室にも暖房が必要です。
温風は風が出て濡れた体には寒いので、他の方法かな?
30分ぐらい付けっぱなしにしないと温まりませんね。
間取りの工夫で、脱衣室を暖かくする方法もあります。
これは、浴室と脱衣室のリフォームですが
リフォーム前は、この間取り
これを、脱衣室と浴室の位置を入れ替えます。
こうすることによって、ダイニングキッチンから直接、洗面・脱衣室に入ることができます。
ダイニングキッチンの暖房を、引き戸を開け放してとりこむことができます。
それと、家事の動線も、キッチンから直接入れたほうが、便利。
キッチンに勝手口があるので、洗濯物を干すにも外に出やすい。
実は、我が家もリフォームのときに そのように変更したので、朝の忙しいときなどとても便利になりました。
我が家はキッチンではなく、脱衣室に勝手口がありますので、ゴミ出しも脱衣室の勝手口を利用します。
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最近、浴室リフォームの相談が多いです。
ちょっと昔の家は脱衣室の無い家や、トイレが脱衣室からしか入れない家などがよくあり、男性(大工さん?主人?)が考えた家なのかな?
今日、打合せにお尋ねした家も、廊下の突き当たりが浴室で、脱衣室がありませんでした。(昭和52年の家なのに)
カーテンしかなくて、奥さんが 「すごく、寒いし、見られそうでイヤ」と 言われてました。
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リフォームは早いほうが良いです。
いつかは、自分も高齢者ですから、バリアフリーにして、手すりもしっかりつけて。
快適な水回りは寿命を延ばします。
よく考えて、暖かく、使いやすく、高齢者が倒れない浴室・脱衣・トイレにしましょう。
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