日本の美しい木製建具~美作桧と杉の既製品建具
昨日は、私の所属している、「木の国美作ネットワーク」の見学会に参加してきました。
でも、忙しいので半日だけの参加です。
初めに、古民家を再生して、5年経過した家へ。
そこは、住まれているので、写真は載せませんが、とても参考になりました。
でも、一番美しいなと思ったのは、昔のままにしてあると言われた、奥の間(客間)の書院建具でした。
そして、幾重にも重なった古い梁をあらわした吹抜けです。
つまり、昔からの日本の住まいは美しいのです。
古民家を再生するということは、日本の住まいの美しさを再確認することだな、と思いました。
*
次に、美作産の杉・桧材の既製品建具を作られている「株式会社イマガワ」さんへ。
10年ぐらい前に、ここに工場を移転したときに来たことはあるんですが、そのころ、今のような既製品の無垢材の建具を始めたばかりのようでした。
私が、この業界に入ったころ(30年ぐらい前)は、私の行ってた住宅会社のすぐ近くに工場があり、今の社長がよく営業に来られていました。
そのころは、普通のオーダー建具・造り付けの家具屋さんでした。
設計担当者がデザインした図面を渡し、見積もりをしてもらって 作成していました。
今でも、私の部屋にある、本棚兼飾り棚は「イマガワ」製。
チークの練り付け合板張りです。(現在も使用中)
でも、この造作家具はフラッシュなので内部が空洞。(そこそこ値段は高かったのに)
そのころは、まだ 国産(植林)の杉や桧が育ってなくて、高価。
洋風建具は、南洋桜等、和風建具はスプルース等が一般的でした。
年月が経ち、植林された杉・桧は 建築材としての使い頃の 60~70年生に育っています。
でも、外材に押されて、需要が伸びないので、すごく良質な木材が、安く手に入るのです。
岡山県北の美作桧・杉材も良質で、値段もそんなに高くないのです。
(一般の人たちは それを知らない。)
イマガワさんも、そこに 着目されたのだと思います。
美作産の無垢の杉やヒノキを使って、品質の良い既製品建具を作られているのです。
工場2階のショールームには、2010年にグッドデザイン賞を受賞した「漣(れん)」が、展示してありました。
ガラスは入っていませんので、最近の高断熱仕様の家向きですね。
とても、美しいです。
工場見学をさせていただいたときに見せていただいた、作成中の「漣」です。
職人さんがひとつひとつ手作りされています。
最後の組立てだけは、手作業だそうです。
格子は、建具の厚みがあります。
美しい木の建具は、見ているだけでうっとりします。
また、その他の建具も・・・・。
右端の建具は、きざみシリーズ。
木を横はぎにした集成材でリブ加工していますので、集成材とは、わからないような、美しい建具です。
たくさん出る端材を無駄にしないために考え出されたそうです。
また、左のふたつは今年の新製品の、桧建具シリーズ「華音(カノン)」。
角が留め加工(角が45度)小口がほとんど外部に出ないので、丈夫だそうです。
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私は、既製品の室内建具はほとんど使わず、建具屋さん(建具職人)にオーダーするのですが、「イマガワ」さんの建具は全て、美作桧や杉を使った無垢の建具で、金物にもこだわっていいものを使っているので、これなら、使ってみたいと思いました。
地元津山にこんなにいいものが作られているのに、岡山県への出荷数は全体の3%程度で、多くは、関東、関西などの大消費地へ。
今は、全国の無垢の木を生かした家づくりをしている中小の工務店さんが取引先で、その数は1000社ぐらいあるそうです。
一般の既製品建具よりは、高めですが、それだけの価値はあります。
リビングとか、ここぞ、というところに使えば、映えるでしょう。
もっともっと みんなに知って欲しいと思いました。
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イマガワのきざみシリーズが好きで採用したかったんですが、
予算の関係で諦めてしましました。
でも、建具屋さんにお願いしてオリジナルデザインの建具にしてもらったので、
それはそれで満足してるんですけどねヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ
投稿: takumi | 2012年7月16日 (月) 00時06分
そうですか。
オリジナルの木製建具は美しいでしょう。
楽しみですね。
昔は、地域に普通にいた建具職人さんがどんどんいなくなっています。高齢化と、既製品建具が主流になって、仕事が減っているためです。
日本の手仕事の極みでもある、木製建具が絶滅しないように・・・。
そのときには、イマガワさんのような建具屋さんにがんばってもらわなければ、と思います。
投稿: めぐ | 2012年7月16日 (月) 10時19分