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恵 建築デザイン事務所

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2012年5月27日 (日)

本物の住まいを手に入れるには?

今日は、とてもよく晴れた日曜日。

先週、山をしっかり歩いたので 今日はお休み。

庭の雑草と格闘の日々です。

Img_1141

さて。

これは、築30年ぐらいの住まいの写真です。

30年前の住まいは、内部はほぼ新建材でした。

みんながそんな家を作ってた。

新建材というのは、それまでの「無垢」の木に対してできた言葉で、ベニヤ板の上に化粧板や印刷した紙を張った安価な製品です。

それを、下地の木材(30mm角や40mm角、45mm角等)の上に、化粧釘や、接着剤で張り付けていきました。

*

内装材がすべてそうで、たとえば 床はフロアーパネルと言われる、市松の貼り物の寄木フロアで、厚みは12mm。

それが、やがては フローリングと呼ばれる物に代わっていった。

高級=傷がつきにくい という観点で考えられていて。

固くて冷たくて、そして高い。

今の無垢の杉や桧のフローリングよりもずっと高いものもありました。

壁は、プリント合板(4mm)や、銘木合板(5mm)。

プリントは名の通り印刷で、銘木は薄い本物の木材をベニヤ板の上に貼りつけている物。

天井は吸音テックスや化粧石膏ボード等。

アルミサッシは、普通のシングルガラスで、サッシの額縁は木製(ラワン等外材)でした。

*

今、リフォーム適齢期はそんな家。

工場で作られたそれらの製品は、ほとんどみすぼらしく変化しています。

はげたり、色あせたり、ヒビが入っていたり。

本物なら、いい味が出てくるんですけれど。

日焼けや傷が経年変化によっておこる美しさです。

さらに当時は、床の下地は根太のみで、下張のコンパネ等はありませんし、断熱材も入っていません。

断熱材を入れるようになったのは、住宅金融公庫の仕様の力が大きいです。

それでも、グラスウールの50mmが入った程度でした。

それは、昭和50年代半ばぐらいから。

初め、壁と天井にグラスウールの50mmが義務付けられて、床は 最後だったと思います。

*

住まいの仕様にも流行があって。

それは、ハウスメーカーが主導権を握ってる?

つまり、ハウスメーカーは、すべてが工業製品ですから。

Img_1140

これは、最近のハウスメーカーの家。

でも、今や、住まいの内装も、建具も、設備も、外壁も、すべて工業製品。

木造住宅でも、メーカーが建材屋を通して、売り込みに来る。

「こんな、いい製品が出たから使ってください。」みたいに。

それで、どこが建てても同じようなものができる。

今は、内壁もビニールクロスが主体なので、これももちろん工業製品ですよね。

現場作成の物は、基礎と、木材(構造材)の組立てぐらいでしょうか?

後は、材料を組立てて行く。

そういう家は、大工さんの工賃も抑えられているので、やっつけ仕事になりがち。

左官工事(タイル工事)と言えば、今はポーチの土間のタイルぐらいしか、ありませんから。

昭和50年代よりも、さらに進んで、アルミサッシの額縁、天井の廻りぶち、幅木等、全部貼りものだし。

室内建具もほとんどは、MDFに木目の樹脂シートを貼りつけて、木に見せているだけ。

消費者の、「掃除がしやすくて、値段の安くて、見た目がきれいなもの」というニーズに答えて行った結果でしょうか?

それとも、「クレームの来ない物」という企業側(造り手側)の、「反ったり、すき間ができたりしない。」という価値観か?

それが、やがては 「自然素材は贅沢(高価)だし、クレームが多い」から 使わなくなっていった。

消費者は、もう、そういうもので家を作ることはできないと、あきらめているのでは?

今の家はこういうものだ、と。

ハウスメーカー等の展示場に毒されているとしか思えない。

まあ、設備とか、昔より良くなっているものもありますが、所詮、「設備」です。

どんなに高級なものを使っても、水回りの設備等は 良くもって 15年でしょう。

そのころには、リフォームの必要が出てきます。

だから、そこに数百万もかけるのは もったいない。

きっと、もっといいものが出てきます。

中の下ぐらいで ちょうどいいのです。

それより、後から交換できないもの(構造とか断熱、雨漏りしないこと)に、お金をかけるべきなのです。

どうか、目先に惑わされないで。

*

この、工業製品で、家を作りだしたのは、昭和40年代ぐらいからでしょうか?

住まいがプラモデルみたいな、高額で壮大な「おもちゃ」に変化して行った。

たかだか、30年ほどで、作り替えなければもたないような物に。

何千万もするのに。

商売の「手段」になってしまった。

*

そんなプラスチックの箱みたいなものに入って生活して、気持ちいいでしょうか?

慣れてしまうと、そんなもんだと思うのかもしれませんが。

住まいとは、そこで、寝て起きて、食事作って、食べて、休んで、くつろいで、自分の生活の基地なんですよね。

ただ、何もしなくても、疲れが取れ、癒されて、明日への力がわいてくる。

そんな、場所にしたい。

本物の材料を使って、腕のある職人の手で作ってもらいたい。

新建材で柱を覆ってしまうのではなく、節があっても、本物の木が見える仕様にしたい。(真壁といいます。)

ただし、外部は断熱材を入れたいので、真壁は無理ですけど。

それって、現代では難しいことでしょうか?

私は、そうは思いません。

*

商売の手段、金儲けの手段のひとつとして、攻めてこられるものを、何も考えていなかったら、そちらに 押し流されてしまいます。

ちゃんと、目を開いて、調べて、勉強して。

どうやったら、手に入るか考えて。

本物は高い・・・・。そうでしょうか?

じゃあ、偽物は安い?違うと思います。

偽物でも、高いです。

偽物自体は安くても、そこに 商売上の「儲け」等が入る余地があるので。

本物も、自分でできるところはセルフビルドして、少しは安く手に入れることはできます。

プロがやるほどの完成度はなくても、できることはあります。

もちろん、プロでないとできないこともたくさんあります。

でも、直接家を作るのに関係ないところ(営業経費や、宣伝費)等に、なるべくお金を払わず、正当な報酬には、払いたいものです。

*

それには、勉強するしかありません。

営業マンや美しいカタログ、展示場に惑わされないで、気持ちを強くもち、あわてず、ゆっくり、本物の住まいづくりをしてください。

新建材が流行る前の家。

戦前の家は、本物で作られていました。

我が家も築70年だから、そうですが、無垢の木で作られた床。

左官さんが塗った大津壁。

今もそのまま生きています。

本物は 寿命が長いのです。

新建材を使わずに作った家は、デザインさえ良ければ、50年たっても おかしくないのです。

80年代に定期購読していた「住宅建築」という雑誌。

捨てようと思ったけれど、中を見たら、今でも通用する住宅が多かったので 驚きました。

特に和風住宅。

その後の、ハウスメーカーが多く載っている雑誌は、もう、時代遅れで、残しておきたい本ではありませんでした。

*

ヨーロッパの古い街並みを見たとき。

京都の伝統的な街並みを見たとき。

伝統的なものは、100年経っても、変わらない美しさがあると思います。

昔から使われている材料。

たとえば、木材や漆喰、和紙とかタイル、石等は、今まで残ってきたということで、建材として優秀であることを時代が認めています。

誰が、何と言おうと。

いいものしか、100年も残っていかないのです。

*

今の「長期優良住宅」を考えるとき。

デザインは、条件にありません。使い勝手も。

だって、美しさや間取りの使い勝手等は、規定できない。

耐震性や、断熱性等、性能は規定できます。

性能も、ももちろん大事ですが、100年たったときに 「古臭くないもの」って、それはやはり、伝統的なものではないのかな。

昔からあるものは、時代が変わっても、人々を納得させる「何か」があります。

デザイン的(特に外観)は、伝統的なものにしておく。

庇は長く。

屋根はなるべく瓦。

デザインはモダン過ぎない。

周囲の街並みに違和感がなく 溶け込むことも大事です。

こういうのが、本当に「長期優良住宅」ということになるのではないか?と 改めて思いました。

住まい自体は、100年前とは違いますから、安全性や快適性も必要です。

健康にも配慮したい。

本当に「居心地の良い住まい」とは何か?

私も心して、そういう住まいを作るように考えなければ。

流行に押し流されずに・・・

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