構造建築家から見た木造建築の可能性~セミナー
17日の土曜日は、岡山県建築士会女性部会主催のセミナーが開催されました。
奈良在住の下山建築設計室 下山聡先生を講師にお招きして木構造についてのセミナーです。
今、震災のこともあり、大注目されているのが、構造建築家ではないでしょうか?
私は4年ほど前、西粟倉村の「森の学校」主催のセミナーで、初めて下山先生のことを知りました。
その後、大阪MOKスクールに通ったおかげで、また、先生のセミナーを受けることができ、それが御縁で、女性部会の県外見学会(奈良)のときに 先生のご自宅のコーポラティブハウスを、見学させていただきました。
参考 http://megumi-design.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-9856.html
今、大胆な木造建築を建てようと思うと、構造設計の専門家抜きには、できません。
関西を中心とした、著名な建築家の方々が頼りにしているのが、この下山先生です。
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でも、困ったことがおきました。
セミナー開始間際になっても、プロジェクターに映像が写らないのです。
本当に、あせりました。
私が今回、司会をさせていただいたのですが、先生も困られてるし・・・。
プロジェクターは、借りものですが、最後の手段で普通は貸し出さない、というものを会場の事務局が貸してくれて やっと 繋がりました。(3台目でした)
それまで、手をこまねいているわけにもいきませんので、先生は、ホワイトボードを使ってできるお話をしてくださいました。
それは、筋交いと面材(構造用合板)などの使い方について。
筋交いと面材は 力に対しての効きかたが違うので、別々に力を受けてしまう。
だから、混ぜて使ってはいけないとか・・・・。
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プロジェクターが復活してからは、身近な構造のことから。
割り箸を折る時、折りたいところに親指をあてて折ると折りやすい。
そこに、傷をつけておけば、楽に折れるように、木造の柱(たとえば、通し柱)に 傷をつければ(ほぞ差しのための欠き込み等を作れば)そこで折れやすくなる、というような 基本的な考え方を 次々に教えてくださいました。
まず、「構造」というのは そんなに特別なことではなく、子どもでもわかる「感覚」と 言うものがあります。
ドアノブが、握り玉よりも、レバーハンドルのほうが小さな力でも 回しやすい・・・・
→ 建物の中央に耐力壁が集まっているよりも、外周部にあるほうが ねじりに対して強い
というようなことです。
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木は鉄骨と違って、欠き込みを作れば、いくら、性能の良い接着剤を使ってその欠き込みを埋めても、元通りの強度には 絶対にならない。
鉄骨なら、溶接した部分は盛り上がって より強くなったりするけれど。
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また、単純梁よりも、支点がたくさんある梁のほうが 安全。
単純梁というのは 梁の両端に柱がある状態。
支点がたくさんある梁というのは 3本も4本もの柱で 1本の梁を受けている状態です。
それなら、1本柱が抜けても すぐ、梁が落下することは ありません。
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そんな風に、わかりやすく 丁寧に構造の基本から教えていただきました。
最後の30分は、先生の最近の作品から、実例の図面や写真で説明されました。
うずまきのような屋根等、よく、こんな物を 木造で作ったな~と 感心するような物ばかり。
もう、それは、意匠建築家との共同作業で、すばらしい木造建築を作りあげられてるのがよくわかりました。
木造の場合は、構造体を意匠デザインとして見せるものが多く、それがまた、美しいのです。
それが、木造の良さかな?
鉄骨や、コンクリート等は無機質なので 素材そのものが美しい、というところまでには なかなか行きません。
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30分遅れで、始まったセミナーでしたが、話がわかりやすくて 面白かったので、始まって、2時間以上もしゃべりっぱなしでしたが、受講者の皆さんも食い入るように聞いておられました。
セミナー終了後に、アンケートを取らせていただきましたが、ほとんどの人が「大変良くわかった」「もっと聞きたい」と、大絶賛。
主催者側として、うれしい限りでした。
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受講してくださった皆さま、こちらの不手際で最初、なかなか始まらず、失礼いたしました。
それにもかかわらず、最後まで熱心に聞いてくださって ありがとうございました。
また、木構造という、難しい話をわかりやすく教えてくださった下山先生にも感謝いたします。
ありがとうございました。
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