みまさか木の家設計コンテスト2012~親世帯への配慮:本当に欲しい家は?
先週までで、設計コンテストは終了しました。
たくさんのご来場、ありがとうございました。
また、来場された皆様が、本当に良い住まいを手にいれられますように。
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ところで、今年の作品ですが・・・
南東面より
これは、南西方向から見た感じ。
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内部の1階の間取りは・・・
最大のポイントは、親世帯の上に部屋を作らなかったことです。
生活時間が違う2世帯住宅には大事な配慮です。
これは、メインリビング・ダイニングとキッチン。
リビングは吹抜けになっています。
吹抜けの窓からは、部屋の奥まで冬なら、暖かな日差しが入るし、夏は熱気を上の窓で抜くこともできます。
キャットウォークをつけているので、窓の開閉も、掃除も簡単。
大きな引き違い窓のほうが 景色が広々と見えます。
キャットウオークの手すりには布団干しも可能だし。
ウッドデッキ越しから、親世帯とのつながりもあります。
また、吹抜けにすると、冬寒いんじゃないですか?とお尋ねになる方も、今回多くいらっしゃいましたが、それは、今、断熱性の劣る家に住まれているから。
今の「次世代省エネ基準」の家づくりなら、そんなことは ありません。
詳しくは 「土壁で外貼張り断熱の家」参照のこと。
http://megumi-design.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-abba.html
親世帯のダイニングキッチンは、家中で一番日当たりの良い場所。
別に小さな玄関もあるので 親たちの友達、ご近所さんが、気兼ねなくやって来れる場所。
そんな場所を作ってあげたかった。
親はいずれ、ひとりになります。
そんなとき、一番大事なのは 地域のつながりや、同世代の友人たち。
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以前、離れをリフォームして80代のおじいちゃんの部屋を作ったことがありましたが、リフォームしたときに 寝室の隣に四畳半の和室を作ってあげたら、おじいちゃんは どんどん友達を呼んで すごく、元気になったそうです。
それまでは 母屋の北の部屋にベッドがひとつで、奥さんも早くに亡くされていたから、孤独に部屋にこもっていたことが 多かったんですが。
お嫁に行った娘さんからのご依頼で、離れに良い部屋を作ったら おじいちゃんはとっても元気になり、「介護認定を、はずしてください」と 保健師さんに言われたそうです。
その、保健師さんが、偶然、去年リフォームしたお宅の奥さんで、そういうお話を聞きました。
自分で、どんどん出かけられるうちはいいけれど、「人を呼べるうち」にしておくのは、高齢者にとって大事なことなのです。
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この設計では、あんまり設計事務所らしくない(つまり、奇をてらった、大胆なデザインとかない)ですが、本当に住む人は、そんな、デザインに走った住まいよりも、「普通に暮らせる」のが大事だと思うのです。(私の設計ってだいたいそうなのですが)
本当に住む人のことを考えたら、デザインは素敵だけど、メンテナンスが大変だったり、雨漏りはしないにしても、雨のときに家の中に雨が入りやすかったり(庇が無かったり、短かったり)、すごく、使いにくかったり・・・・
たとえば、よくある、玄関ホールにトイレや脱衣室の入口がある(見えなくても)家なんか、絶対ダメです。
玄関に人がいたら、トイレも脱衣も出るに出られない、なんて。(私の昔の家がそうでしたから)
お風呂から上がったら、夏なんかは 裸同然で、寝室に入れることが ベストです。
私は、プライベート空間と、パブリックな空間は 必ず分けます。
そういうデザイン(設計)ではなく、暮らしやすく、居心地の良い、家事の動線も楽で、というのが、本当に求められていると思うのです。
その上で、「素敵なデザイン」というのなら 良いのですが。
それと、今までの ハウスメーカーや一般的な工務店の設計は、住み手のことを考えているというよりも、造り手の側からばかり考えている。そういう 傾向がありました。
そうじゃない、っていう造り手側の人もいらっしゃるとは思いますが、完全に「商売」にしてしまってる人もいる事実。
そういう人たちは、宣伝もうまい。
もちろん、生活がかかっているのだから、正当な報酬は当然と思いますけれど、なんか違う・・・。
すごく坪単価の安い家は、消費者の見えないところで、安くあげているし(下地の材料が少なかったり・・・)
本当にいい家を造る人たちを、消費者が知る方法が少ない、というのも問題です。
そういう、消費者と造り手たちの、架け橋になるのが、この設計コンテストだったり、木の国みまさかのネットワークだったりするのです。
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私は、よく考えられた普通の家を、きちんとした職人さんたちと、適正な価格で造りたい。
そう、考えています。
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住まいのことを語りだしたら、きりがないな~。
私は、住まいを造ることが 天職だと思っているので・・・
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