ダイニングキッチンのスタイル
今、住まいはキッチンを中心に廻っているようです。
キッチンをどこへ持ってくるか?
キッチンをどんな形にするかで、その住まい方、家族の生活まで変わってきます。
●昭和40年代~
それまでの和室にちゃぶ台の食事ではなく、テーブルと椅子で食べる食事。
スペースに余裕があれば、独立キッチン+ダイニング、というスタイルもありましたが、キッチンはダイニングキッチンが主流になりました。
始まりは戦後の公団住宅からですが、農家住宅でもキッチン改善(「改造」ではなく、「改善」)といえばこれで、文化的な洋風生活のシンボル的存在だったようです。
昭和50年代にはシステムキッチンが登場しますが、まだ一部の高級住宅のみ。
一般には、箱型の流し台、調理台、コンロ台を並べ、上部には吊戸棚が、普通でした。
窓や壁へ向かってキッチンセットが並び、振り返るとテーブルがあり、お料理ができるとテーブルでついでに盛り付けます。
テーブルは調理台や配膳台にもなるのです。
欠点は、散らかりやすい流し周りが、食事中も丸見え、ということ。
食器棚やレンジ台などが、壁に沿わせて置くようになるので、動線が長く散漫になりがち。
でも、コンパクトな部屋でも対応できます。(6帖ぐらいから)
●昭和60年代~
キッチンはシステムキッチンで、対面キッチンが主流になりました。
リビングダイニングという考え方で、主婦は家族の方を向いて料理を作ることができるので、料理しながら、家族の様子が見られ、人気があります。
しかも散らかった流しの中などは、テーブルからは見えないので、片付け下手な主婦でも大丈夫。
また、キッチンに立って振り返ると、食器棚やレンジ台が有り、調理中の動線がコンパクトです。
欠点は、カウンター越しに料理の受け渡しが必要で、お手伝いがいないときは、自分が廻って行かないといけないので、結構面倒なんです。
広さも10帖は必要です。
多くはリビングともつながっていて、リビングダイニングとした場合、広々とした部屋が取れます。
今でも、何も言わなければ、この形が多いようです。(ハウスメーカー他)
●平成10年頃~
対面キッチンの吊戸棚をだんだんつけなくなり、やがて、腰壁もなくなってオープンキッチンへ。
部屋が広々と見え、友達や家族みんなでワイワイ料理を作ったりして、楽しむこともできます。
欠点は、すべてオープンなので、いつもきれいに片づけておかないといけないことです。
多くは、リビングとも繋がっています。
しかも、コンロの前に油が飛び散りやすいし、流しの前も水ハネがあります。
それを防ぐために、ガラスやアクリルのつい立のような部材もありますが、それをつけるとせっかくのオープンキッチンの良さが半減。
それと、アイランドキッチンで、部屋の中央にコンロがあるプランは、レンジフードも天井からダクトで抜くようになり、ちょっと邪魔な感じだし、排気の抜けも悪い。
部屋の広さも最低10帖は必要でしょう。
キッチンの流れを時代順に書きましたが、今は、また 対面ではないダイニングキッチンが増えてきたように思います。
と言っても、昔のようなダイニングキッチンとは違います。
大きなテーブルを、ダイニングの中心に置くのです。
また、テーブルの高さを通常の70㎝より低くして、(65㎝~67㎝)リビングと兼ねたりします。
リビングは床座の形態が多く、最近はソファーを置く人は少ないようです。
これは、ソファーを置くと 部屋が狭く見えたり、ごろりと横になってくつろぐには、床に座る方が良いからでしょう。
対面キッチンは、子育て世代のご家族には良いのですが、上記のような欠点があり、熟年以上のご夫婦は コンパクトなダイニングキッチンのほうが良いかもしれません。
それよりも、勝手口の近くに食品庫(1~2帖程度)を設けることをお勧めします。
ここは、分別ごみやリサイクルごみの一時置き場、箱買いの缶ビールや冷蔵庫に入れない野菜や缶詰など、頂き物や、特売で買った(余分な)食品などの収納に重宝します。
システムキッチンも今は多種多様。
既製品を使わず、専門の家具職人で作るオーダーキッチンも、珍しくなくなってきました。
そうなると、もう、自由自在。
ミリ単位で好きな大きさや、仕様にすることも可能です。
ですが、キッチンはショールームのようなわけにはいきません。
日々の生活の中心なので、安易な憧れでスタイルを決めず、熟慮しましょう。
キッチンから、隣の素敵な庭が見えたり、遠くの山が見えたり、というのも 日々の暮らしの潤いになります。
素敵なキッチンから始まる、居心地の良い暮らしを目指しましょう。
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