住宅瑕疵担保履行法の疑問
平成21年10月1日より住宅瑕疵担保履行法が本格的に施行されました。
10月1日以降の引き渡し物件は、この法律の対象になります。
瑕疵(かし)とは 不具合のことです。
でも、私はこの法律、一部、おかしいと思っています。
この法律は姉歯事件をきっかけとして 施行されました。
根底には欠陥住宅を買ったり、建築してしまい、業者の対応が悪く 困っている消費者保護のため、というのがあったと思います。
私は、この法律施行前に講習会を2度ほど受講しました。
この法律がおかしいと思っているのは、この「業者が入る保険」であるということです。
2千万円程度の住宅で7万~9万円の保険料ですが(保険業者によって違う)、建設業者は、建設業の許可を持っていないと入れません。
まあ、ほとんどの住宅建築業者は建設業の許可を持ってるとは思いますが、すべてではありません。
建設業の許可は、一式請負で1500万円以上または150㎡以上の工事を施工する、または一式以外で500万円以上の工事の施工をする場合には必要ですが、それ以外は特に必要ありません。
だから、大工さんで下請けが中心の方などは持っていません。
40坪程度の家で大工工事だけなら 200~300万円ですから。
公共工事をされるかたは持っていますが。
だから、必要性を感じないのです。
手続きや登録には費用もかかりますから。
それで、講習会で講師を務められた国土交通省の方にたずねました。
「施主の部分発注など、直営工事の場合で、大工さんが建設業許可を持ってない場合、誰がこの保険に入るのですか?」と
するとその方は
「その住宅の基礎工事をされる土木の方とか、建設業者登録を持っている方に入ってもらってください。」とのこと。
確かに、土木工事をされる方は公共工事もされることが多いので、建設業許可を持っておられます。
そのことを、ある 基礎工事業者の方に言うと
「冗談じゃない!なんで 元請けでもない、私らが、そんな保険に入らないといけんのですか!?」と、抗議されました。
それと、田舎では、欠陥住宅を作って逃げるような悪質業者は地元では仕事ができなくなるので、みなさん、良心的。
瑕疵があれば 無償で直されます。
この法律は、悪質業者が横行してる、都会の感覚ではないかなと 思います。
それと、これは、瑕疵があった場合、今までは、(良心的な業者は)無償で直されていたものが、施主のお金(保険)で直すようになる、というのも いかがなものか?とも思います。
悪質な業者に当たった場合の保険でもあるし、良心的な業者の場合でも、ミスはありますからその場合でも、助かるといえば、そうでしょう。
逆に業者の方から言えば、クレイマー対策にもなるかもしれません。紛争処理センターに安価な金額で相談を持ちかけることもできるので。
でも、どうせ、保険料は建設費のうち(諸経費等)に含められるのだから、業者が入るのではなく、施主が直接入る制度にしたらいいのにと 思います。
もうひとつ、この法律は、主に「雨漏り」と「構造」についてだけが 対象となります。
クロスがはがれたとか、外壁の色落ちなどは 対象になりません。
それと、新築住宅のみ。
リフォームや増築はダメです。(既存との区別がつきにくいからでしょう。)
また、「構造」といいながら、地盤は保証されないので、これは地盤調査会社が斡旋する保険に入った方が良いと思います。(2~3万で入れます)
でも、この法律のおかげで、地盤調査は義務付けられたし、基礎の鉄筋の間隔やコンクリートの厚みなど、強固になり、第3者の検査機関もチェックされるので、より、良質な住宅ができるようになり、消費者のためには良かったと 思います。
また、これとは別に完成保証制度がありますが、これも業者が入るものなので、心配な方は確認してみてください。
すべての業者が入ってるわけではありません。
瑕疵担保履行法を始め、「長期優良住宅」や「住宅版エコポイント」など、さまざまな制度が政府主導で作られています。
これらの制度にも、疑問点はありますが、また、追々、語っていきたいと思います。
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