水害後のリフォームと耐震改修
●水害後のリフォーム進捗状況
水害に遭った家は建築年はわかりませんが、最初は昭和20年代以前かもしれません。
何度もリフォームと増築をされているようで、状況から50年以上は経っているように思います。
水害に遭ったため、土壁の状況もあり、壁も床も表面の仕上げ材は全部はがしてもらいました。
それから、窓をつける予定のところも土壁を落としてもらいました。
それで、びっくり!
これは、水害のせいではないと思いますが、主要な管柱(1階部分だけの3m程度の柱)の下30㎝ほどは、腐れていたり、ほぞ穴などあまりにも「欠け」=「断面欠損」が多いため、このままでは、大地震が来たら持ちそうにありません。
ひどいところは、通し柱がコンクリートブロックに半分載っていて、そのブロックにくっついていた柱も腐れて無くなっていたり。
ここは、添え柱で対処しないといけません。通し柱は交換するわけにはいきませんから。
梁が途中で切断されていて、その継ぎ手部分に 1本の柱で支えていたところもありました。
外壁は下見板張りでしたが、土壁の上にそのまま張ってあり、もちろん古い建物なので防水紙もなし。窓下などで、土壁もなく、ただの空洞の壁もありました。
上部の板は、隣家の屋根の上になることもあって、水が回って黒ずんでいます。
このまま、知らん顔をして内壁を張ってしまうというわけにはいきません。
水害に強い断熱材も入れたいし。
初めは、構造用合板(ダイライト)を張り、通気工法にして、サイディング張とすることを検討しましたが、やめました。
関西間サイズのため、高価なメ―タ―モジュールのダイライトが必要だし、筋かいの方が小さな窓を上部につけることも可能だからです。
住宅密集地なので、不燃材のダイライトを使いたかったのです。
街中の狭い場所で左官工事がやりにくい場所は、サイディングが簡単です。
でも、見積もりしてみると、モルタル塗りのほうが安い場合があります。安いクラスのサイディングを使っても。
サイディングは役物も多いし、残材処分するものも多く、以外に高くつくものだと思いました。
この家は、商店街の中ほどにあり、三方を隣家に囲まれています。
隣家との間も50㎝~80㎝しか離れてないし、北隣の家とは境界で壁を共有しています。
街中には良くあることですが、そのために通風が大変悪く、水周りの土台や柱の多くが腐朽しているのです。
もちろん、布基礎などではなく、基礎はコンクリートですが、昔の棒状の石の代わりにコンクリートを打ったという感じ。
基礎の立ち上がりもなく、土台もその上に直接載っていますから、地面に、ほぼくっついているようなものです。
床下も土のところも有り、土間の部分もありましたが もちろん防湿シートなどは敷いていません。
前回このブログで、土壁の家でも、仕上げがしてあれば、水害に遭っても大丈夫と書きましたが、その仕上げの仕方によります。
表面に合板を打って仕上げた場合、土壁は水にさらされているので、やはり、ダメでした。
この写真の土壁はまだ濡れていました。
ここには筋かいが入りませんから、構造用合板を打ちつけ、耐力壁にしようと思います。
その前に、この土壁が落ちてこないように、パーライト入りモルタルで押さえてもらうことにしました。
今後、この建物が2度と水害に遭わない保証はないからです。
築60年以上の我が家も床上浸水(70㎝)の水害に遭っていますが、表面はモルタルや大津壁で塗って仕上げてあり、大丈夫でした。
この家でも腰壁に洗い出しなどで強固に仕上げてある場所は、大丈夫でした。
それと、我が家の場合、日当たりも通気性も良く、そういうことが家の耐久性に大きく影響しているものだと思いました。
●耐震補強について
この建物は道路側(建物の2/3)は、店舗で間仕切り壁が少なく、耐震補強を考えたときにとてもバランスの悪い建物です。
古い建物なので、筋かいなどは一本もありません。
かといって、伝統構法というわけでもないので、地震には弱い建物でしょう。
耐震補強をすれば、お金もたくさんかかります。
耐震診断をしたところ、かなり悪い点数で「倒壊する」と判定されました。
ですので、せめてリフォームする部分は、大地震がきても崩れないようにしておこうと考えました。
1階をリフォームする部分の真上に寝室があるのです。
ベタ基礎にして、間仕切りにも鉄筋コンクリートの立ち上がりを作り、2階の大引を下から構造材で支えます。
ちょうど、トイレ、浴室、脱衣室の部分は間仕切り壁がたくさんできるので、2階の床の補強になります。
間仕切りもなるべく筋かいを入れて、耐力壁にします。
予算や、間取りのこともあって、完全なことは難しいのですが、耐震補強後の耐震診断は、なんとか、「倒壊しない」という判定に持って行きたいのです。
それが、建築士としての責任だと思います。
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