水害に強い家
昨日、岡山県美作市で水害があり、たくさんの家が床上浸水したようです。
水害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。
この秋から、リフォームにかかる予定の家もそのあたりにあり、心配で電話してみたのですが、電話が不通なのか、呼び出し音は鳴るのですが、誰も出られません。
携帯をまだお聞きしてなかったので、連絡できません。
知人の情報によると、その付近は床上1mぐらいまで浸水したらしいのです。
テレビのニュースでもやっていました。
あの、土砂崩れの現場から2kmほどのところです。
でも、ちょっとうちから距離があるし、迷惑になってもいけないので、とりあえず、近くに住まれている大工さんに、様子を見に行ってもらうようにお願いしました。
大工さんの家は大丈夫のようでしたが、同じ町内でも浸かったところがあるそうです。
また、以前設計したお宅も近くにあるので電話をかけて様子を聞いてみました。
その家は、玄関ポーチぎりぎりまで水が来たのですが、幸い床下浸水を免れたと、奥さんがほっとされていました。
でも、最近の家は、基礎天と玄関土間の高さが同じぐらいなので、しかも、昔のような床下換気口はなく、基礎と土台の間にパッキンを入れて基礎外周を全部換気口にしています。
ですから、ぎりぎりの水位だと、そこから水が浸入した恐れがあります。
脱衣室前の廊下の床に点検口があるので、それを開けて見てください、とお願いしました。
奥さんが開けてみると、やはり、ころばし配管の下に水が入っていたそうです。
溜まってはいたのではなく、濡れていたそうです。
そのうち乾くでしょうが、雨があがって、天気が良い日に、和室の畳を上げて中央部の座板をはずして換気をしてください、とお願いしました。
幸いこの家は、リフォーム部分には、床下換気扇もつけてあるので、そのおかげで、床下に風が流れるようです。(床下換気扇は無事のようでした)
水害に遭った家は本当に大変です。
実は、私の実家は、平成11年10月の台風10号に伴う豪雨で、床上70センチの浸水被害に遭いました。
元々、低い土地で、子どものころから、10年に一度ぐらい、床下浸水していたのですが、床下浸水と床上浸水とでは、天地ぐらい、被害に差があります。
実家には両親だけが住んでいたのですが、水がだんだん上がってくると、タンスや、冷蔵庫は浮いて倒れるそうです。
もちろん、中身はめちゃくちゃ。
玄関の引き戸は1枚そのときに、流れて行方不明。
下駄箱が浮かんで流れそうになったので、今は亡き母が「お父さん、下駄箱を捕まえて!」と叫んだそうです。
けれど、入口が狭いので「玄関から出るはずがない」と父は笑っていたそうです。
でも、下駄箱の引き戸は1枚流れてしまいました。
夜の11時過ぎ、「今、膝まで水が来た!明日、片付けを手伝いに来て!」と 母から携帯に電話がありました。
まあ、命に危険はなかったんでしょうから、いいですけれど・・・・。
次の日、私やその他の親戚たちで、後片付けをしに行きましたが、それは、もう 大変な光景でした。
片付けには1週間近くかかりました。
水の流れが速かったのか、泥は意外に少なかったですが、川下の家などは、家の中が水田状態になったところもあったそうです。
町内のあちこちに、ゴミがうず高く積まれています。
お墓に行けば、墓石も倒れていました。
流しの下や、押入れの下部に置いてあったものは全部水浸し。
ほとんど捨てました。
そのときにわかったこと。
家を建てるときは、本物の材料でないとダメだということです。
新建材のフローリングは全滅でした。接着剤が離れてしまうのです。
ステンレスの流し台も箱はベニヤ板ですので、ベロベロですし。
大丈夫なのは 無垢の床。
古い家なので、縁側や廊下は無垢の板で祖母がピカピカに磨いていたのですが、それらは、まったく 大丈夫。
壁も、大津壁などは、水の形はついていましたが、乾いたら問題ありません。
土壁も落ちません。
ダメなのは畳。
全滅です。
部屋の中央に座卓があって その上に重ねたのですが、水位が高いので、それでも、浸かってしまいました。(1階だけで18.5畳ありました)
タンスの下の畳ははがせませんし。
クッションフロアもダメです。
クロスも下地のプラスタ―ボードも水を吸うとダメになります。
新建材類はほとんどダメだし、グラスウールのような断熱材も使えなくなります。
実家は築70年以上の古い家なので土壁で、断熱材は入っていません。
トイレも浄化槽にしていたので良かったのですが、今だに床板のフローリングの隙間の土が取れませんね。黒ずんだままです。つまようじで掃除してもダメ。
(昔の床下浸水時は、汲み取りでしたのでコンクリート便槽が満杯になりました。)
家財道具では、電化製品。
水に浸かったものは動かなくなりました。(ビデオとか)
後で、動くようになったものもあります。
それは、掃除機。
自然乾燥させたら、良いようです。
一番の損害は車。
3台パーになりました。
その翌年、母の念願のキッチンのリフォームが、水害のおかげででき、玄関の建て具もサッシに変わったので、母はちょっと喜んでいました。
水害に強い家は、まず、低い土地に家を建てなければいいのですが、元々そこに住んでいる場合は、しょうがないということもあります。
新しく土地を購入して建てる場合は、よく、気をつけましょう。
水に関係する地名は危ない、と聞きました。
(沼とか、川とか、谷とか・・・)
浸かりそうな場合は、基礎を高くすることも必要かもしれませんね。
幸い、このときの水害は国の激甚災害に指定され、翌年には近くの川幅が50m広がり、河川改修もあっという間に行われました。
だから、この50年に一度と言われた災害は、もっと 起こらなくなったはずなのですが、昨今の異常気象ですから、絶対大丈夫、とは言い切れません。
まず、自分の命。そして家族の命。
2階の無いご近所の家は、おばあさんのひとり暮らしで、水害後に父が見に行ったら、布団を敷くところが無くて、座卓の上で寝ていたそうです。
こういうときは、2階があると避難できるので、いいのですが。
水害に遭われた人が、1日も早く、元の生活に戻れますように・・・・。
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はじめまして。
この度の災害には心よりお見舞い申し上げます。
さて、記事の中に床下換気扇の話題が入っていましたが、下記のようなサイトを見つけましたのでご報告致します。
http://www.e-sanin.com/modules/ura/index.php?content_id=26
頑張ってくださいね!
投稿: Elvispre3 | 2009年8月11日 (火) 09時18分
ご意見ありがとうございます。
床下換気扇は、訪問販売ではなく、一流メーカーのものを取り付けました。一流メーカー品を取り付けると、あのホームページのようなことはありませんし、値段も3台で86415円(定価)+電気工事代です。湿度センサーがついていて、湿度の低い昼間だけ運転するようになっています。(湿気の多い夜間は運転しない)
それと、普通の床下換気扇は北面などに取付、排気だけ行い、吸気は通常南面の換気口から、自然吸気で行いますので、あのホームページのように、同じ所から吸排気はしません。
床下換気扇をつけるのは、市街地の住宅密集地などで、通気が著しく悪い場合、特に床下が湿気やすい場合に、床下に防湿シートなどを敷き込み、さらに念のために設置することが多いです。
私は、県の消費生活センターの要請で、建築関連の相談員として出ていました。あるとき、5つで50万円以上の契約をされたひとり暮らしのおばあさんが相談に来られました。その方は、さらに、ローンを組まされていましたので、実際払うにはかなりの高額になっていました。
同席した消費生活相談員の方、弁護士の方も 実際には床下換気扇がどれくらいするかもご存じ無く、3つで10万円もしないと聞いて、びっくりされていました。
くれぐれも、悪質な訪問販売には注意してほしいものです。
本当に必要かどうかは、訪問販売業者ではなく、地元の工務店などにご相談ください。ずっと安価で良い工事ができます。
投稿: | 2009年8月11日 (火) 15時23分