縁側のある家
NHKの朝の連続ドラマを見ていたら、たいてい住まいに縁側がありますね。
縁側があると、隣近所の人も気軽にやってきて 声をかけやすい。
気軽な間柄の人は みんな縁側からやってきます。
玄関で大声出すよりも、ドラマのテンポが良くなるんでしょう。
昔の大きな庄屋さんの住まいを見学すると、廻り縁から日本庭園が見えて、とても落ち着きます。
この写真は、鳥取県智頭町の旧家・石谷家の縁側ですが、素敵ですね~。
我が家は築70年の古い日本家屋なので、縁側がありますが、こんないいもんじゃありません。
その当時の典型的な田の字型プランを南北に長い敷地に入れたので、縁側が西向き。
しかも、縁側に面しているのは道路で、あまりゆとりがないのです。
南向きで、素敵な庭でも見えたら良いのですが。
だから、縁側を使うのは法事かお葬式のときぐらいでしょうか。
昔は、お坊さんは縁側から上がって来られていました。
このへんだけの風習でしょうか?
後、縁側の効用は大きな荷物を出し入れするのに、便利です。
開口部が大きく開くので。
それと、夏の西日の暑さと冬の寒さを防いでくれていますね。
我が家の縁側は西向きで冬寒く、箱買いのみかんを保管するのにぴったりです。
昔は、縁側には雨戸しかなく、朝になると雨戸を開け、日中は大雨でも降らない限り、また長期の留守でない限り、開けっ放しでした。
京都のお寺の縁側と同じですね。
部屋との間は障子一枚ですから、のどかな時代だったんですね。
雨戸を建てると家の中になり、建てないと外。私と公の境目です。
日本人特有の曖昧で、フレキシブルな空間でした。
昔、吹きぶりの雨は縁側の床を濡らしていました。
近年、そこにガラス戸が建てられ、それがアルミサッシへと変わって行きました。
戸を建てた縁側があると、その中の部屋は寒さ暑さも和らぎます。
縁側は大きな断熱材の役目もしていたんですね。
昭和40年代までは、床の間のある和室と縁側はセットでしたが、その後どんどん住まいの洋風化が進み、今の新しい家には、めったに見られなくなりました。
今の家は、特別希望しなかったら、縁側を付けません。
まあ、和室でさえも無くなってきているので、当然なんでしょうけど。
小さな子供が、「いいなあ、おばあちゃんちは。僕のおうちには縁側がない。」と言ってるのを聞いたことがあります。
子供が遊ぶのにもぴったりの場所だったんですね。
すぐ、外に出られるし。
でも、その代りに現れたのが ウッドデッキ。
これは、リビングの前などに、床と同じ高さに取り付けられます。
縁側のように 部屋に沿わせて細く長く取る場合もあるし、6畳分以上取り、もうひとつのリビングのような使い方をすることもあります。
床高が高いので 落ちないように手すり代わりの囲いを付けることもあります。
こうなると使い道は多様。
家族でバーベキューしたり、気候の良いときは お茶したり。
暑い時は、日よけのパーゴラや、ガーデンパラソルも良いですね。
布団干しにも重宝しそうです。
でも、囲いがないので、縁側と同じようなわけには 行きません。
去年、竣工した家には、ウッドデッキもありましたが、ご両親の希望で、寝室の前に広縁をつけました。
この家のウッドデッキは、ウッドデッキというよりも、濡れ縁という感じかもしれません。
外部に開かれた、縁側です。
今では、ご近所の人との交流の場。
私も たまにお訪ねすると、玄関に回らず、ここでお話しすることもよくあります。
この写真は、広縁からウッドデッキを見たところです。
広縁は、冬はサンル―ム代りになり、とても暖かいです。
ちなみに広縁と縁側との違いは、普通より奥行きが広ければ「広縁」だそうです。
普通というのは、間中(関西間で985mm、関東間で910mmのモジュール)のこと。
この家の広縁の奥行は1200mmなので、立派な広縁です。
この写真の反対側には、造り付けの文机があり、お母様が習字を書いたり、天気のいい日には、豆を干したり、選ったりします。
布団を干したとき、あわてて入れなくても、湿りませんし。
夏はすだれを垂らせば、風の通り抜ける道になります。
下の写真は、脱衣室から廊下を通って、両親室~縁側を 見たところです。
ここが風の通り道です。
今、リフォーム計画中の家では、商店街の中で三方とも隣家がせまり、中ほどの部屋は昼間でも真っ暗です。
1階は店舗なので、部屋は取れません。
この敷地で、気持ちよく過ごせる住まいにするには、居室を2階に持って行き、ウッドデッキを敷いたバルコニーを、中ほどに作るのがいいな、と思っています。
その場所が、小さな庭にもなり、住まいにうるおいを与える縁側(=ウッドデッキ)を生かした住まいになればと、検討中です。
近い将来、我が家を建て替えるときも 縁側のある家に住みたいな~と思いますが、贅沢でしょうか・・・・?
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