家めぎと古材・木材の使い方
先日の3月下旬とは思えない小雪の舞う(時々吹雪)寒~い日に、このブログにも何度か登場している、岡山県北の鳥取県との県境に近い現場へ行ってきました。
この日は、「家めぎ」です。
「家めぎ」というのは、岡山弁で、「家をめぐ・・・家を壊す」という意味です。
今回、古い住宅を壊し、その古材を一部利用し、同じ場所に新築します。
といっても、バサッと壊すのではなく、レッカーで、使える古材を丁寧に解体していきます。
その後、大工さんといっしょに、どの材を実際に使うか、(使えるか?)梁伏図を見ながら、1本ずつ長さや曲がり具合をチェックし、検討しました。
施主さんは、10本ぐらい使いたいというご希望でしたが、本間(関西間)の住まいをまた、本間に使うので、仕口や継ぎ手の関係で 少し長さが必要ということもあり、なかなか適当なものがなく、やっと、6本の材を選び出しました。
材は栗が多かったのですが、囲炉裏があったので いい感じに黒くなっています。
梁材だけではなく、一部の化粧柱にも使いたい、とのことでしたが、壁地(下地)を作る関係で、曲がった木は使いにくく、上下を逆にするわけにも行かないので、選ぶのに苦労しました。
木を柱に使うときは、生えていたときの状態で使うのがあたりまえで、上下を逆に使うのは 葬式のときに使う「塔婆」ぐらいなもののようです。
それどころか、山の木も、南斜面の木は家の南のほうへ使い、北斜面の木は北に使うのが、理にかなっているそうですが、現実にはそうもいきません。
というか、普通は市場で買うのだから、山のどの斜面に生えていたのかなんて、わかりませんよね。
昔は木挽き(木を挽いて住宅用の木材として使えるように、製材する人。)がいて、家を建てるとき、木挽きは重要な役割りだったようです。
「木挽きのほうが、大工の棟梁よりも偉かったんだ」と ある棟梁に聞きました。
だから、棟上げのときに 今でも御幣を3本立てますが、1本はその家の棟木に取り付け、もう1本は木挽き、もう1本は棟梁が持って帰っていたそうです。
今は、木挽きがいないので、設計者がいただいて帰ったりしますが。(^_^.)
ちなみに、木には木表と木裏があり、板状に使う場合も、木表を上にして使うのが正しい使い方のようです。(場合によっては逆のときもあります。)
木表とは、表皮に近いほうのことで、木裏とは、年輪に近いほうのことです。
大工さんは年輪を見れば、即座にわかります。
木表は、年輪の間隔が広いので、乾燥で少し縮むこともあります。
木表の方が、年輪の間隔も広く見た目も優しい感じで美しく、木裏は少し毛羽立つような感じだそうです。
だから、敷居や鴨居は木表に建具の溝を彫ります。(「ひをつく」と言います)
前にトイレの手洗いのカウンター材に面皮つきの板を使おうとして、材料を見せたところ、大工さんに注意されたことがあります。
木の使い方は奥が深いですね。
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木の生えていた状態で使うのが一番強い。ってのはすごい勉強になります。人もそうなんでしょうね。無理矢理修正して使ったり、表と裏を逆に使ったり。きれいに見えなくても正しく使えば時が経つと味がでてくるんだろうな。僕も自然に生きたいと思います。
投稿: もりもと | 2009年3月31日 (火) 06時25分
そうですね。人も、自分の本当にやりたいことだけをすれば、ストレスも少なくて済みますね。まあ、そうも行かないのが、人の世の常ですが・・・・。木もストレスの少ない使い方をしてあげると、木の良さが生きるんでしょうね。木が喜んでいる気がします。
投稿: めぐ | 2009年3月31日 (火) 09時31分
希望していました建具を提供していただき誠にありがとうございました。
建具を頂に上がる時間を大幅に遅れてご迷惑を掛け、申し訳ありませんでした。
阿波の民具展示館で写真の個展ができるように、これから展示物を作ります。完成しましたらそれをご覧頂きたいです。
投稿: 河内裕隆 | 2010年9月 2日 (木) 07時29分