洋式トイレ考
今日の山陽新聞の読者の投稿ページに、公共的な建物も洋式トイレにしてほしい、という投稿が80代の男性の方からありました。
ほんの30年前まで、こんなことはありえませんでした。
そのころから、住宅の設計の仕事についていた私は、施主にトイレはどのようにしましょうか?と尋ねると、たいてい、和式や兼用便器(2段になっていて、男女兼用で使えるもの)、と答えられていました。
まだ、田舎(津山)の一般家庭では水洗トイレも珍しかったころです。
そして お医者さまのご自宅から、浄化槽~洋式トイレ~温水洗浄便座になって行きました。
(システムキッチンもそうです。やはり、いいものは、お金持ちから?)
20年前、その当時の我が家のトイレを改装するときに洋式にしたところ、義父が「絶対、使わん!」といい、外トイレ(農家の納屋の隅にある)の和式に行っていました。
その後、簡易水洗(汲み取りトイレなのだが、コップ一杯の水で流す方式)から、浄化槽をつけて、水洗トイレ+温水洗浄便座に改装したところ、今度は、それが非常に気に入り、
「もう、よそに行っても、洋式トイレを探して用を足す。あれでなきゃあ、いけん。」という答え。外トイレにも、プラスチックの洋式便器をかぶせて使用するようになりました。
頑固なおじいさんをも変えてしまうぐらい、日本人のトイレに対する感覚は変わりました。
もちろん、膝が痛い、腰が痛い、という体の不調もありますが、ほとんどの家で洋式に代わったのが大きいと思います。
昔は、洋式トイレの使い方がわからない人もいたのに、今は和式トイレを使えない子供もいるそうです。
生まれたときから、家でも学校でも洋式トイレですから。
和式から洋式に変わったおかげで、トイレの仕上げも変わりました。
床も腰壁もタイル貼りで底冷えがする寒さだったのに、今は、床はフローリングやコルクタイル。腰壁は無垢の板をよく張ります。
ただし、男子小便器の周りや、洋式トイレを男子小用にも使う場合、床には汚れ防止の大版パネルを張るようにしています。
男性が洋式トイレを立って使うと、便器や周りが非常に汚れます。
ですから、男性も家では7割の人が小用でも座って使うと どこかに書いてありました。
たぶん、奥さんの要請で・・・・。
設備も暖房便座(便座が暖かい)に、温水洗浄便座(お尻を温水で洗って温風で乾かす)。
最近では、脱臭付きであったり、温風暖房が出たり、夜中トイレに行って眩しい灯りで目が覚めないように、便器の中がぼんやり光ったり・・・。
6~7年前から、便器の中は汚れが付きにくい加工がしてあり、おかげで、1回に流す水も昔の10リットルから、今は大でも6リットルまでに抑えられています。
トイレに飲めるぐらいきれいな水を流しているのは、本当にもったいないですね。
これも、最近の公共建築では、リサイクルの水や雨水を利用したりして変わってきています。
省エネの面では、家族がどのようにトイレを使うか学習機能(!)があって、使わない時間帯には便座が節電できるようになっていたり、使う時だけ電源が入るホテル方式だったり、最近のトイレの進化はすごいんです。
それは、いいと思うのですが、トイレのふたが自動で開いたり、水が流れたりする機能はやりすぎかな?と 思います。
流す必要のないときに流れてしまったりするし。
よそへ出かけたときに 習慣で流すのを忘れてしまうこともあるようです。
初めの話に戻りますが、昔は、「他人の座った便座に座るのは気持ち悪い」という意見もあり、公共建築は和式が主流でした。
でも、今は、高齢化社会。自宅だけではなく、公共の建物も洋式にしてほしいですね。
それで、温水洗浄便座までは良いですが、せめて暖房便座にはしてほしいと思います。
たまに、冷たいトイレに当たって、飛び上がるほどお尻がびっくりすることがありますから・・・。
近くの公会堂も、会合をしていても、トイレがいやだから、わざわざ家に帰る、というのも聞いたことがあります。
何とかしてあげたい!と 建築の仕事をしている私としては、思います。
そんなに莫大なお金がかかるわけではないのですから。
それと、家庭のトイレの暖房便座の電力使用量は、エアコン、冷蔵庫、テレビに次いで多いんですよ!夏は電源を切って、使いたいですね。
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